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1、専門委員会とは
管理組合の運営は理事会によって行われますが、管理規約の改正、共用部分の変更、大規模修繕工事の実施等のような大きな事業については、そのための事前の調査、検討や準備に相当の期間、労力や専門性が求められ、理事会のみでは対応できないことがあります。また実施に際しても同様の問題があります。そこで理事以外の組合員の参加を得て対応する方法として考えられrたのが「専門委員会」という組織です。専門委員会を設置してそれぞれの分野で知識や経験のある組合員の協力を求めて対応する事で、より適正な組合運営を行う事が可能となります。特に以下のケースでは専門委員会の設置が望ましいと言われています。
 
①理事会役員の任期では解決できなく、継続的に検討する必要のある案件。
②理事会で検討するには、通常の業務遂行に支障を来すと思われる案件。
③専門的な知識(建築・設備・法的制度等)を必要とし、理事以外の専門的知識を有している区分所有者の参加が必要な案件。
 
 
2、設置方法
理事会は、その責任と権限の範囲内において、専門委員会を設置し、特定の課題を調査又は検討させることができます(マンション標準管理規約第55条、以下規約とする。)。従って専門委員会は『理事会の下部組織』です。
 
 
3、構成員
専門委員会の業務には管理規約の改正、共用部分の変更、大規模修繕工事の実施等のための事前の調査、検討等の専門性と、準備に相当の期間や労力が求められる事から、構成員には検討対象に関心が強い組合員を中心に構成される事が望ましいと言えます。また必要に応じて、検討対象に関する専門的知識を有する者(組合員以外も含む。)の参加も考慮すべきです。
 
 
4、権限
前述したように専門委員会は『理事会の下部組織』であり、専門委員会は理事会の責任と権限の範囲内において設置されるものである以上、 専門委員会の検討対象が理事会の責任と権限を越える事項である場合や、理事会活動に認められている経費以上の費用が専門委員会の検討に必要となる場合、運営細則の制定が必要な場合等は、専門委員会の設置に総会の決議が必要となります。
 
 
5、業務
 専門委員会は、調査又は検討した結果を理事会に具申する事が業務の全てす。そして専門委員会の具申を受けた理事会は、その内容を検討し修正すべきは修正して総会議案を作成し総会に諮ることになります。ただし専門委員会は理事会の下部組織である以上、専門委員会の具申した結果に対して理事会が拘束される事はありません。もし専門委員会の委員が区分所有者であり理事会の下した判断を不当だと考えるならば、臨時総会の開催を理事長に要求することになります(規約第44条第1項)。この点巷によく聴く理事会と専門委員会の争いは、理事会役員と専門委員会の委員が自信の役割を正しく認識していない事が最大の原因であると考えます。
 
 
6、設置例
専門委員会は以下のケースにおいて設置されています。
(ア)大規模修繕工事の実施
(イ)専有部分のリフォーム問題
(ウ)管理規約の改正
(エ)居住ルールの作成
(オ)ペットの飼育のルールの作成
(カ)駐車場の運営または増設等