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一、地震保険とは
火災保険では、地震・噴火・津波による火災損害は補償されません。これら地震・噴火・津波を原因とする火災の他、損壊、埋没、流失による損害を補償する保険が地震保険です。地震保険は、「地震保険に関する法律」に基づいて政府と民間の損害保険会社が共同で運営しており、被災者の生活の安定に寄与する事を目的としています。よって地震保険は居住用の建物またはその建物に収容されている家財にのみ掛ける事が出来ます(自動車や1個または1組の価額が30万円を超える貴金属などは除きます。)。専用店舗・事務所のみに使用されている建物には地震保険は掛ける事が出来ませんし、営業用の什器・備品や商品にも掛ける事が出来ません。なお、マンションにおいて地震保険を掛ける場合には、①共用部分に掛ける場合と②専有部分に掛ける場合の2通りがあります。現在、共用部分の地震保険の加入状況は、日本全体で4割弱という低い水準にとどまっています。
 
 
二、保険金額
保険金額とは、万一事故があった場合に保険会社が契約者に対して支払う保険金の最高限度額です。地震保険の保険金額は、建物や家財に掛ける火災保険の保険金額の30%~50%の範囲内で設定します。ただし他の地震保険契約と合算して、建物5,000万円、家財1,000万円が限度となります。マンション等の区分所有建物の場合には、区分所有者ごとに保険金額を設定し、①共用部分と②専有部分を合算して5,000万円が限度となります。
 
 
三、保険金
万一地震等があった場合に、保険会社が契約者に対して支払うお金の事を言い、保険金は時価で支払われます。現在地震保険の保険金は、建物と家財毎に損害の程度を四つに区分して支払われています。以下、具体的に解説します。
1、建物
Ⅰ 全損
マンションは、鉄筋コンクリート造や鉄骨造がほとんどです。そこで損害の認定は、建物全体の被害(沈下や傾斜)やひびの程度によって損害額が建物の時価の50%以上、もしくは焼失または流出した床面積が建物の延べ床面積の70%以上の場合をいい、時価を限度にして保険金額の100%が支払われます。
 
Ⅱ 大半損
建物全体の被害(沈下や傾斜)やひびの程度によって損害額が建物の時価の40%以上50%未満、もしくは焼失または流出した床面積が建物の延べ床面積の50%以上70%未満の場合をいい、時価を限度にして保険金額の60%が支払われます。
 
 
Ⅲ 小半損
建物全体の被害(沈下や傾斜)やひびの程度によって損害額が建物の時価の20%以上40%未満、もしくは焼失または流出した床面積が建物の延べ床面積の20%以上50%未満の場合をいい、時価を限度にして保険金額の30%が支払われます。
 
Ⅳ 一部損
建物全体の被害(沈下や傾斜)やひびの程度によって損害額が建物の時価の3%以上20%未満、もしくは全損・大半損・小半損に至らない建物が、床上浸水または地盤面より45㎝を超える浸水を受ける損害が生じた場合をいい、時価を限度にして保険金額の5%が支払われます。
  
2、家財
Ⅰ 全損
損害額が時価の80%以上の場合をいい、時価を限度にして保険金額の100%が支払われます。 
 
Ⅱ 大半損
損害額が時価の60%以上80%未満の場合をいい、時価を限度にして保険金額の60%が支払われます。 
 
Ⅲ 小半損
損害額が時価の30%以上60%未満の場合をいい、時価を限度にして保険金額の30%が支払われます。 
 
Ⅳ 一部損
損害額が時価の10%以上30%未満の場合をいい、時価を限度にして保険金額の5%が支払われます。 
 
 
四、保険料割引制度
地震保険には住宅の免震・耐震性能に応じた保険料の割引制度があります。割引の適用を受けるためには、所定の確認資料を保険会社に提出する事が必要です。具体的には以下の通りです。
Ⅰ 免震建築物割引
住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく免震建築物である場合、50%の割引となります。
 
Ⅱ 耐震等級割引
①住宅の品質確保の促進等に関する法律に基づく耐震等級を有している場合、または②国土交通省の定める「耐震診断による耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)の評価指針」に基づく耐震等級を有しいる場合、等級に応じて10%、30%、50%の割引となります。
 
Ⅲ 耐震診断割引
地方公共団体等による耐震診断または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施工)における耐震基準を満たす場合、10%の割引となります。
 
Ⅳ 建築年割引
昭和56年6月1日以降に新築された建物である場合、10%の割引となります。
 
 
五、免責事項
地震等の際における紛失や盗難は免責となり、保険金をお支払いする事は出来ません。また、地震等が発生した日の翌日から起算して10日を経過した後に生じた事故も免責となります。