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一、防災とは
 
防災とは「災害を防ぐ」事です。災害には「人災害」と「自然災害」があります。「人災害」は防ぐ事が出来るかもしれませんが、「自然災害」は防ぐ事が出来ません。ただし「自然災害」に対しては、事前に予防対策をとる事で被害を少なくして(減災)、被害の発生に対して適切な対応処置をとり(応急)、その後の復旧・復興を早める事が出来ます。そこで現在、「防災」とは①人による災害の発生そのものを防ぐ事(狭義の防災)のみならず、②自然災害による被害を予防して、いち早く復旧する事も含んでいます(広義の防災)。なお1995年の阪神・淡路大震災以降、社会に重大な被害を生ずる自然災害の事を「危機」といい、その被害対応については「危機管理」と呼ばれています。
 
 
二、管理組合の防災について
 
ひとたび災害が発生すると、自治体や防災関係機関は総力を挙げて災害対策活動に取り組みます。しかし大災害の場合には、道路の寸断や渋滞、通信手段の混乱などによって、消火・救出・救助などの活動能力が著しく低下してしまいます。そして大きな災害であればあるほど、各自がバラバラで、出火の防止や初期消火また被災者の救出や避難誘導などの防災活動を行うよりも、皆で団結して組織的に活動した方がより効果的な防災活動を行う事が出来ます。従って災害に対して管理組合として取り組む事は、結果的により多くの命を守る事に繋がります。そこで大きな災害時に効果的な防災活動を行うための組織として、管理組合内に自主的な防災組織を作る事が、今日求められています。
 
 
三、防災なくして管理なし
 
「管理組合」とは「マンションの管理をするための組合」です。そして「マンションの管理」とは、具体的には「共用部分・建物の敷地・付属施設の管理」の事を言います(区分所有法第17条、同第18条、同第21条)。そして「管理」には①保存行為、②狭義の管理、③軽微な変更、④重大な変更、の4つがあります。 従って「管理組合」とは、「マンションにおいてこの4つの行為を行うための団体」という事になります。
そして管理組合は、以上のマンション管理を行うため様々な業務を行います。マンション標準管理規約では、第32条において15項目にわたって業務の内容が詳細に規定されています。そして防災については、同第12号において「防災に関する業務」として規定していますので、マンション標準管理規約を規約として設定している管理組合においては、防災についても業務として取り組んでいく事になります。
ところで第32条からも明らかなように、管理組合の業務は基本的には平常時を前提としています。従って万一大規模な地震や火災等の災害が発生した場合には、平常時を前提とした多くの業務を行う事は困難になる事が予想されます。そこで前述しましたように、①人による災害の発生そのものを防ぐ事はもちろんですが、②自然災害による被害を予防して、いち早く復旧する事が必要となります。これらの「防災」を行う事で初めて管理組合は通常の管理業務を行う事が可能となります。「防災なくして管理なし」とはこの事を意味しています。管理組合が管理を行うにあたって、防災がいかに大切なのかを理解して頂ければ幸いです。