一、共助
1995年の阪神・淡路大震災時に、生き埋めや閉じ込められた人の救助を、いったい誰が行ったかの割合は、「自助 : 共助 : 公助」=「67:31:2」でした。この事実は、災害時にはまず自分と家族の安全を守る「自助」がいかに重要か、を表わしています。そして「共助」は、人命救助の点において、隣近所の助け合いが「公助」よりも圧倒的に優れている事を意味します。「公助」よりも「共助」が優れている一例として、阪神・淡路大震災では,血だらけの被災者を前に,他地域から来た消防団の方が、身がすくんで動けなくなったという事もあったようです。そんなときに頼りになるのが、顔見知りの隣近所の方です。普段から近所づきあいを大事にしておけば,あなたに何かあったときには必ず助けてくれる筈です。またあなた自身が助けに行く事が出来ると思います。
二、自主防災組織の結成および運営
非常時に「共助」を実現するためには、管理組合の特性を理解した上での「組織」を作る事が必要です。この組織の事を「自主防災組織」と言います。即ち、自主防災組織とは「非常時における共助を実現するための組織」です。ちなみに管理組合は「マンションの管理を行うための団体」であり、平常時を前提とした業務が中心になりますので、両者は「表裏一体」の関係にあります。
自主防災組織を結成して効果的に運営させていくためには、何をすればよいでしょうか? 阪神淡路大震災では、倒壊家屋の下から救出された方のうち、地域の近隣住民により助け出された方は全体の約8割でした。この事実は、日頃から計画を立てて防災訓練をして行く事で、いざという時により多くの命を守れる事を意味します。また東日本大震災では、多くの地域でたくさんの犠牲者が出ましたが、一方ではいち早く避難する事で全員助かった地域も数多くありました。この事実もまた、日頃の避難計画や避難訓練がいかに大切かを物語っています。
従って自主防災組織を効果的に運営させていくためには、管理組合の実態に合わせた『防災計画』(「防災マニュアル」とも言います)を作成する事が、なによりも大切になります。具体的には、「いつ、どこで、だれが、なにを、どのように」行うのかを、出来るだけきめ細かく計画していきます。
そして防災計画が出来ましたら、作成した「防災計画」に基づいて、避難誘導・避難所開設・初期消火・応急手当などの訓練を、継続して実施していく事が大切です。そうする事でいざという時に、可能な限りの「共助」を実現出来るのだと思います。