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一、マンション向け火災保険の現状
マンションの火災保険は、保険会社が積極的に販売しているとはいえない商品です。なぜかというと事故が多くて採算があわないからです。具体的には、漏水事故等の建築設備の事故が圧倒的に多い事が一番の理由です。即ち、マンション特有の複雑な給排水構造が損害率を高くしているとも言えます。年数が経過して事故が多発するマンションにおいては火災保険に加入したくても加入出来ない、そんな事態が今現実に起こっています。特に20年経過したマンションはその傾向が強いように思います。 
ただ築年数が経過していたとしても、メンテナンスをしっかりやっていれば漏水事故はかなりの確率で減らしていく事が出来ます。そして事故が減っていけば火災保険の引き受けを保険会社に断られないようにする事も可能となります。そこで事故を減らしていくための対策が必要となります。それではその対策について解説していきます。
 
 
二、定期調査・定期検査
マンションのような共同住宅においては、建築基準法によりさまざまな調査や検査また報告が必要とされています。具体的には①特殊建築物定期調査②昇降機定期検査③建築設備定期検査です。そしてそれぞれの調査や検査は、特定行政庁の定める時期に定期的に行い報告をしなければいけません。
そして火災保険の加入に際しては、法が要求する調査や検査をする事が大事なポイントとなります。さらに、国土交通省が平成20年に発表した「長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」により、設備系の修繕時期とされている15年を目安に修繕工事を行う事が大切です。なぜなら建築設備の状況を把握しながら定期的に修繕工事を行う事で、建築設備の事故は間違いなく減らしていけるからです。結果として事故が少なくなれば、保険会社としても火災保険の契約を引き受けても採算が取れる以上、火災保険の引き受けを拒絶される可能性を減らしていく事が可能となります。 
ただし、ここで大切な事は定期検査や修繕工事の関係書類を保険会社にきちんと提示出来るようにしておく事です。関係書類を提示する事で保険会社と交渉をしていく事が大切です。そうする事で、たとえ築年数が経ったマンションにおいても火災保険を利用しようと思えば利用できる状況を作る事が出来ます。 
今後益々老朽化したマンションが増えていく中で、マンションの共用部分にかける火災保険については、保険料率が一律の商品からリスク細分型の商品に移行していくもの思われます。定期調査や修繕工事をしっかり行っているマンションでは保険料は安く、そうでないマンションにおいては保険料が高くなる、もしくは保険に入れない、そんな時代が必ず来ると思います。 
ちなみに、事前に状況の把握をしながらの修繕工事は必要最低限の工事費で済むはずです。これは修繕積立金の取り崩しも少なくする事で、結果的には管理組合の会計の健全化にも繋がります。法が要求する定期調査や定期検査が火災保険の加入に際していかに大切なのかお分かり頂ければ幸いです。