1、監事とは
監事とは、理事会全体の行状を監視し、「不正は行なわれていないか?」「きちんと運営されているか?」「一部の役員の独断専横になっていないか?」「会計は公正か?」などの役割を担当する役員の事を言います。マンション標準管理規約(以下、規約とする。)は第35条第1項第5号で管理組合に監事を置くと規定し、同第2項で監事は組合員のうちから総会で選任するとしています。
2、権限
①監事は、いつでも、理事及び第38条第1項第二号に規定する職員に対して業務の報告を求め、又は業務及び財産の状況の調査をすることが出来ます(規約第41条第2項)。
② 監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況について不正があると認めるときは、臨時総会を招集することが出来ます(規約第41条第3項)。
③ 監事は、同第5項に規定する場合において必要があると認めるときは、理事長に対し理事会の招集を請求することが出来ます(規約第41条第6項)。
④同第6項の規定による請求があった日から5日以内に、その請求があった日から2週間以内の日を理事会の日とする理事会の招集の通知が発せられない場合は、その請求をした監事は、理事会を招集することが出来ます(規約第41条第7項)。
3、義務
①監事は、管理組合の業務の執行及び財産の状況を監査し、その結果を総会に報告しなければいけません(規約第41条第1項)。これには、理事が総会に提出しようとする議案を調査し、その調査の結果法令又は規約に違反し又は著しく不当な事項があると認めるときの総会への報告が含まれます。
②監事は、理事会に出席して必要があると認めるときは意見を述べなければならない
(規約第41条第4項)。従来は「できる規定」として定めていたものですが、監事による監査機能の強化のため理事会への出席義務を課すとともに、必要があるときは意見を述べなければならないとしました。もっとも理事会そのものは、規約第52条に規定する招集手続を経た上で規約第53条第1項の要件を満たせば開くことが可能であり、監事が出席しなかったとしても理事会における決議等の有効性には影響しません。
③監事は、理事が不正の行為をし若しくは当該行為をするおそれがあると認めるとき、又は法令、規約、使用細則等、総会の決議若しくは理事会の決議に違反する事実若しくは著しく不当な事実があると認めるときは、遅滞なくその旨を理事会に報告しなければいけません
(規約第41条第5項)。そして監事から理事会への報告が行われた場合には、理事会は当該事実について検討することが必要です。
4、現状
残念ながらほとんどのマンションでは、年に1回の決算の時に管理会社から来る帳簿書類に目を通して(または目を通した事にして)認め印を押すだけの業務(行為?)を行っているのが現状です。私見となりますが、確かに理事会が有効に成立するためには監事の出席は不要ですが(規約第53条)、マンション標準管理規約の改正に伴い、監事に理事会への出席義務を課した以上は、監事の出席を理事会の成立要件とするべきでだと考えます。たとえ議事録により理事会の業務内容に問題がある事が後日分かったとしても、理事長による対外的な業務が発生してしまうと、取り消して振り出しに戻す事は困難な場合が多いからです。